フィリピンの台風被害
フィリピン中部を直撃した台風30号で、死者が1万人を超える可能性があることを各紙面が報道しています。
今回の台風では、
①895ヘクトパスカルという異常な気圧低下による海面上昇
②最大瞬間風速は90メートルに達する猛烈な風力による吹き寄せ効果
③地形が海面上昇を助長
という要因が重なり、一種の「気象津波」のような現象が起きたようです。フィリピンの被害状況は記憶に新しい東日本大震災のあとのようにみえるのは、その「気象津波」によるものです。
朝日新聞は、「地球温暖化に伴い、極端な気象現象が増えるのではないかといわれている。水温の高い海域が北に広がり、猛烈な台風が日本を直撃するようになるかもしれない」と懸念を示しています。
ただ、「今回の台風災害の根本には、防災インフラが遅れている途上国共通の問題がある。空港や道路など産業基盤への投資にくらべ、自然災害への備えは後回しにされがちだ」と、防災対策の遅れが被害をここまで増大させたと見ているようです。
日経新聞は、「心配なのは地球温暖化が進むと、こうした台風が発生しやすくなると科学的に予測されていることだ」とし、「津波では2004年のインド洋大津波後、各国が情報を迅速に伝え合う体制を強めたのに比べ、台風災害を防ぐ情報共有は遅れている」と、国際的な情報共有の必要性を訴えています。
産経新聞は、「政府は、取り急ぎ国際緊急援助隊の医療チーム25人を派遣したが、今後とも最大限の支援を行うことはアジアの友人として当然だ」とし、さらに、これまでの自衛隊の災害派遣の成果を強調しています。
台風は、いきなり発生するものではなく発生後今後の進路や発生時の台風の大きさ(風速等)も細かにわかるようになっています。しかし、その情報もフィリピンで被災した方々に伝わっていたかどうかは定かではありません。また、予測できていたとしても逃げ切れていたかどうかも定かではありません。ただいえることは「備えがないものほど危機的な状況に陥ることが早まっている」ということは確かなのかもしれません。
豊かさを追求することを優先するあまり、自然を破壊し、自然の脅威にさらされ、その自然脅威に対する備えはおろそかになってしまう。
それぞれの人々が、「明日は我が身」と考え、常日頃から冷静に「備え」ておかなければならないと思います。